2009 年 4 月

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4 月 26 日(日) 晴

生存報告と最近の読書

すっかり御無沙汰でございますが、無事に生存しております。

忙しいのかと問われれば、それなりに。 休日出勤していてもおかしくない状況ではありますが、 幸か不幸か勤務先がお客様の建物なので、休日出勤はいろいろ面倒なのです。 もちろん、こういう状況では問題の先送りに近いわけで…。

そんなわけで、通勤時間や休日は現実逃避に余念がない。 とはいえ通勤時間にできることは限られる。 特に朝は文庫本を読むのが精いっぱい。 書店で目についた、 『すべてが F になる』 (森博嗣,講談社文庫,ISBN 4-06-263924-6) を読んでみた。 名前は目にするのだが、読んだことはなかったので、そろそろ読んでみようかと。 京極夏彦がパロディ短編集 『どすこい。』 で書いた パロディ『すべてがデブになる』は読んだけどね (と言いつつも、内容は覚えていない)。

キャラクタ設定が極端だったり(謎解き役は、 研究者肌の工学部若手助教授と、お嬢様大学生「萌絵」)、 情報工学を前面に押し出している割にはなんか違和感があったりしたけど、 結構楽しめた。 シリーズ 2 冊目の 『冷たい密室と博士たち』 も読み終えて、次は 『笑わない数学者』 に進もうというところ。

1 作目が書かれたのは 1995 年だから、 まだ Windows 95 も出ていない時代よね。 コンピュータウィルスも、まだあまり知られていなかった頃か。 「インティジャは 2 バイトだね?」という台詞にめまいがした。 1995 年の作品で、設定上 7 年前から稼働しているシステムだから、 1988 年ってことだけど…。 もちろん、あくまでも小道具の話であって、 ミステリとしての価値に影響するような話でもないんですがね。

この作者が出てきた頃は、 理系人間を中心においたミステリというのが新鮮だったそうな。 そもそも文系・理系というカテゴライズが好きじゃないという 個人的好みは置いておいて、 今、私が読んでそう珍しく感じられないのは、 東野圭吾 がメジャーになったのも一因だろうか。

電車の中では文庫本しか読まないのだけれど、 なぜかコミック本も増えていたりして。 本が溢れているので特にコミック本は購入を自粛していたのだけれど、 先日ふと気の緩みから、平積みになっていた 『ADAMAS』 (皆川亮二,講談社イブニング KC,ISBN978-4-06-352221-1) を買ってしまう。 この人の 『スプリガン』 が好きだったんで。

これまた凄い設定で、主人公の流崎麗華は、 世界的な宝石商の娘(ただし数年前に没落)。 宝石に宿る様々な能力を引き出すことができ、 宝石を身につけた者の行動一切を封じることができる。 そうなると戦う必要なんてないと思うのだけれど、 動けなくなった敵を、 愛用のカイザーナックル(ダイヤモンド鋲つき)で 体重を載せてブン殴るという豪快な戦い方をする。 戦闘後の様子から、敵組織では 「ゴリラのような女に違いない」と噂されているとか。

これを買ってしまったせいでハズミがついて、 書店ですぐ隣に置かれていた 『COPPELION』 (井上智徳,講談社,ISBN978-4-06-375572-5) も買ってしまったり。 買った時点では 2 巻までしか出ていなかったのだけれど、 結構おもしろかったので、直後に出た 3 巻も購入。

これを読む時に気をつけないといけないのは、 科学的な背景は全部無視しなきゃいけないということ。 「放射線」と「放射能」の混同なんてのは可愛いうち。 主人公たちは遺伝子操作で放射線への耐性を持っている。 被曝を無害化する「抗体」があるのだが、 これは注射した瞬間に全身に行き渡り、10 分ちょうどで効果が切れる。 挙げはじめるときりがないわけで。

じゃあ何が良いのかというと、人物描写かなぁ。 特に 2 巻から出てくる「配達人」の悩みがね。 あの状況で「科学者なら胸張ってください!」と言えるリーダーも凄い。 廃虚と化した近未来世界で戦う長身黒髪ストレートのヒロインという ビジュアル的な要素も、少しは影響しているかもしれない。 こんな状況なのにミニスカートのブレザー制服ってのは、 どちらかというと呆れているところ。 恐るべし、ヤングマガジン連載。 『AKIRA』 もヤングマガジンだけどね。

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